小ネタ  生徒会からのお知らせ


 

・ 生徒会からの連絡事項――《生徒会長》


 うっす。前回に引き続き今回も生徒会長をやる空園可憐だ!

 わかってる。お前らのいいたいことはわかってる。いいぞ、泣いても。感動感激おおいに結構。不安だったんだろ? あたしが今年も生徒会長やってくれるかって。

 やってやんよ!

 ふふん、みんなの期待に応えるのが生徒会長だからな。今世紀最大の天才であるあたしがみんなの期待を裏切るわけないだろ? 今年は去年よりももっとおもしろいことを提供してやるから待ってろよな!

 そして新入生諸君! ようこそ、観鞘学園へ!

 この空前絶後の生徒会長がいる最後の年に入学できたことに感激し、あたしに感謝しながら一年間過ごすといい。三年分の感動を今年中に味わっておかないと後悔することになること間違いなし!

 ふぅ……まぁ、今日はこれくらいのあいさつにとどめておくか。これくらいにしとかないと、この『生徒会からのお知らせ』の第一号から感涙のあまり大ベストセラーになりそうだからな。どうせ学園に通ってる奴で、あたしの素晴らしさを知らない奴なんていないだろ。

 なぜなら、あたしは今世紀最大にして最初で最後の天才で、美少女で、天才だからな!






・ 生徒会からの連絡事項――《副会長》


 在校生と新入生の皆さん、こんにちは。

 昨年に引き続き今年も生徒会副会長を務めさせていただきます、土方ヘレナといいます。
 誠心誠意皆さんの学園生活を盛り上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 さて、在校生の方には改めて説明するまでもないですが、ここで副会長の仕事についてご連絡させていただきます。

 副会長のお仕事、それは生徒会長の補佐です。フォローです。後始末です。

 ということで、まずは会長からのあいさつの間違った点を捕捉しておきたいと思います。

 まず最初に――今世紀最大を名乗るのは少し早いかな。今世紀始まったばかりだよ。あと、たぶん可憐ちゃん的には今世紀に生まれた天才、って意味で使ってると思うけど、そうすると可憐ちゃん年齢十歳に満たないよ? 可憐ちゃんの容姿でそれいうと冗談に聞こえないからちょっと違う言い方にしてみようね。

 でも、だからって空前絶後はおかしいかな。イメージ的には大事件とか、起きちゃいけないことが起きるってイメージが前に来るから、イメージを大事にする最初のあいさつでそれはないと思うよ。なんか嫌だよね、そんな生徒会長。


 うん。というよりぶっちゃけ、このあいさつ全てがありえないと思うよ。


 ああ、今年も可憐ちゃんは絶好調のようです。全校生徒の皆さん。今年もできるかぎり可憐ちゃんのフォローをがんばって、皆さんへの被害が最小限で済むよう務めたいと思います。

 なので、ごめんなさい。他の生徒会役員の方にまではフォローが回らないと思ってください。

 それでは、来世が穏やかであることを願って。あいさつを終わらせていただきます。






・ 生徒会からの連絡事項――《書記》


 はじめまして。生徒会書記につきました、朝霧水歌といいます。

 たぶん、わたしのことを知っている人は多くないと思います。なぜかというと、四月に転校してきたばかりだからです。

 前に住んでいたのがイタリアなので、一応は帰国子女になります。生まれは日本で、幼い頃はこの街に住んでいたこので日本語はきちんとしゃべれますが、最近の流行などにはあまり詳しくありません。

 そんなわたしが生徒会書記という役につくのはおかしいことかも知れません。ですが、投票してくれた人の期待に応えるためにも、精一杯努力していきたいと思います。

 差し当たっては書記の最初のお仕事、皆さんが今読んでいる生徒会便りを作らせていただきました。おもしろかったですよ。生徒会のみんなにインタビューして、それを文面に興すのは。

 色々と編集しないといけなかったらしいのですが、今のわたしの語学力では上手く直す自信がありませんでした。なので、今回はインタビュー通りの、ありのままのみんなの姿を伝えることにしました。生徒会のみんなはとても元気で楽しい人たちなので、これが一番よく皆さんに知っていただけると思ったからです。

 わたしはまだ短い在学時間ですが、この観鞘学園が大好きになりました。
 多くの素敵な思い出が残せるような、そんな学園を作っていきたいと思っています。

 うん、なんか自分だけおもしろみがなくて恥ずかしいな。ばいばい。






・ 生徒会からの連絡事項――《書記補佐》


 転校してきたばかりなのに、なぜか現在生徒会書記補佐という地位についている朝霧火澄です。
 生徒会長による独断と偏見でメンバーを選ぶというこの学園の生徒会任命システムは、間違いなくおかしいと感じています。

 クラスもおかしいし、生徒もどこかおかしいです。姉さん……ああ、書記の朝霧水歌は僕の姉です。手を出した奴は許しません。と、話がそれた。

 そもそも生徒たちの規範であるはずの生徒会からしてもはや混沌としてるし、書記の仕事とはどれだけ生徒会を嘘で固めて表面上取り繕うかにあるのだと実感しています。というわけで、姉さん。


 これからは全ての記事を改稿しようか。


 姉に悪気はないんです。心の底からあのおかしなメンバーを好意的に受け止め、純粋に慕っているんです。我が姉ながらときどき、この天然っぷりは新世界を開けるのではないかと思うよ。姉さんとあいつを近づけないために引き受けたことを早くも後悔しつつあります。

 せめて僕らが会計で、あいつらが書記だったなら……まだ、マシだったかも知れないのに。

 とにかく、全校生徒は生徒会を反面教師にするようにしてください。そうすれば、全てが丸く収まる気がします。

 最後に。姉さんに手を出した奴は全力で(唯一書記によって消されました)することをここに誓います。






・ 生徒会からの連絡事項――《会計》


 恐らく俺のことを知っている生徒は少ないだろうと思われる。
 影に生きる男。縁の下の力持ち。舞台裏のエースこと、生徒会会計の宮田実篤だ。

 正直、マイソウルパートナーを差し置いて会計という地位についていることに戸惑いを隠せない。なぜなら俺はシャイだからな。しかし、昨年度の最後に行われた空園との決闘で勝負に勝って試合に負けた以上、筋を通すのが男だと思い決意した。

 差し当たっては、目標を提示しよう。

 一つ、一日一回は幼なじみを愛でる。
 二つ、一週間に一回は幼なじみのところへトラブルを運んでいく。
 三つ、一ヶ月に一度はエンターテイナーというのはどんなものかということを世に示す。
 四つ、予算を十倍にする。

 以上の四つを自分のマニフェストとして掲げさせてもらおう。なに、安心するといい。俺はあまりにも個性に欠ける情けない会計だが、我が会計補佐は最高だと太鼓判を押せる。会計業務はつまらないものになるが、役者が最高であれば事件は起きる。

 故に楽しみたまえ。青春という名の下に、恥を掻き捨てるといい。

 もう一度だけ言おう。

 今年の生徒会は最高だ、と。






・ 生徒会からの連絡事項――《会計補佐》


 今年の生徒会は最悪だ。

 空園だけでも手に余るのに、実篤までもが参戦したとなってはもうお終いだ。そこに水歌までが加わって、確実に逆らえないし止められない激流ができあがっている。

 会長は副会長が、書記は書記補佐が、会計は会計補佐がそれぞれフォローに回っているが、恐らく抑えきれない。今までの戦いの歴史がそう物語っているし、副会長も書記補佐も暴走するときは本当に暴走するから気が休まらない。

 信じられるのは自分だけ……生徒会最後の良心として、精一杯学園のために働きたいと思う。

 思えば俺の高校生活は……悲しい、ものだった。

 一年生の頃から幼なじみに振り回され、二年生のときには厄介な先輩二人に絡まれ変な宗教に入らされそうになったり同性に貞操を狙われたりと。三年生になったらなったでなぜか生徒会に入らないといけなくなった。

 しかし勘違いして欲しくないのは、俺がこの観鞘学園を好きだということ。ちょっとどころじゃないほど騒がしいが、普通な日常が大切だ。

 だから、みんなも負けないように大切にして欲しい。

 一生に一度しかない高校生活。暴君がたとえ君臨しようと、決して負けずに楽しんで欲しい。これから起きるだろう波瀾万丈な高校生活、悲しいことだがそれが君たちの高校生活になるのだから。


 それが、これから死地に赴く俺からの、最初で最後のお願いです。


 生徒会会計補佐――佐倉純太でした。






生徒会からの連絡事項――《OB》


 どうも。出演をお願いされてインタビューを受けました。桃神様一の部下こと初美ちゃんです。

 とりあえずお願いされたことを果たします。

 二年生のときは会計補佐。三年生のときは会計と、二年連続で生徒会に入ってました。山岸生徒会長と空園生徒会長には色々とお世話になりました。お二人ともとても素晴らしい生徒会長で、歴代生徒会長の中でも名前を残すほどです。


 ……そう思っていた時期がきっと、誰にでもあったことでしょう。


 人間、何が原因で豹変するかわからないから。昨日の彼が今日も同じ彼だとは思わない方がいい。同じように、一時間前の彼女が今の彼女と同じとは思ってはダメ。女はミステリアス。刻一刻と変わっていきます。

 というより、自分が一年生だったときのことがなぜか思い出せません。

 アルバムを見れば、そこには知らない瓶底眼鏡の少女が映っています。つまり初美ちゃんの身にある日何かが起き、その結果変わってしまったのでしょう。家族や友人もそんなことを言っていました。

 ただ、一つだけ変わらないのは、等しく桃神様を崇めていたことです。間違いない。

 桃神様……それは宇宙を駆け抜けるヒーロー。地球滅亡を企む斑模様の怪物と日夜戦い続ける、子供たちの永遠のヒーローです。桃神様を崇めれば、ピンチのときどこからともなく天啓が閃きます。ピンチ脱出。人生桃色。昨日までのあなたとはもうさよなら。

 今ならもれなくこの桃神様人形を……なに? 佐倉君。勧誘するなって? でも、最初にお願いされた台詞は言っておいたし、あとはフリータイムで桃神様の素晴らしさを……。

 しょぼん……初美ちゃん自重します。

 え? 最後に一言? …………この文面を見た人は桃神様を崇めないと二十歳までにあいたっ。






・ 生徒会からの連絡事項――《OB》


 失敬。現生徒会より出演を熱望された、先代生徒会長にあたる山岸だ。今日は空園生徒会について一言もの申せといわれたために参上仕った。

 色々と言いたいことがあるが、一言で語るとするなら、この言葉以外あてはまらないだろう。即ち、

 
 ――――萌え。


 つーか、何コレキタァアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアア――――!!

 可憐タンにヘレナタン、水歌タンにヒズミきゅんとまさにゴールデンメンバー! よりどりみどりの萌え地獄! おのれぇ、あと二年生まれるのが遅ければ、空園生徒会ファンクラブを立ち上げ日々その活動記録を青春の一ページとして魂に焼き付けたものを!

 いや、これは負け犬の発想だ。勝者は時間には囚われない。


 ――故に、拙者はここに空園生徒会ファンクラブの立ち上げを表明する!


 我が儘だけど子供扱いされると怒るロリっ娘可憐タンを微笑ましく見守ることを望む者よ!

 どことなく色香漂う甲斐甲斐しいハーフ美少女ヘレナタンを影から応援することを望む者よ!

 今は絶滅した大和撫子を地で行く素直クールお姉ちゃんな水歌タンの恋する表情に悶えることを望む者よ!

 お姉ちゃんが大好きでたまらないから実は男装してるだけで本当は女の子じゃないかという個人的な脳内設定により攻略対象に入ったヒズミきゅんを弄りたいと望む者よ!

 その全てを拙者は同志として迎え入れよう。我ら空園生徒会ファンクラブ――『サクラノヤロウマジテメェヨミチニハキヲツケロヨ』こと『SMクラブ』は、各種釘バットを取りそろえて同志たちの決意を期待する。

 なお、この声明は我が萌え道への扉を開いてくれた恩人たる、S氏とJ氏を含む現生徒会の前で執り行っている。放課後にいきなり『萌え』とどこから聞こえてきたら、それは拙者の断末魔の声だったと言っておこう。

 拙者は市内の大学へと進学し、昨今の美少女ゲームの乱立もありなかなかこちらへ来ることができないが、会員ナンバー001として、活発に活動をしていこうと思う。

 では最後に、前生徒会長から現生徒会へと一言残そう。

 拙者を叩くときは是非にこの鞭にてお願いします。ハァハァ。

 




 

新入生『『うちの生徒会は変人ばっかりだ!!』』










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